
「また氷ができなくなりました。前回と同じ壊れ方だと思います。」
以前にもご相談いただいた、栃木県のバーオーナーさんから届いたLINE。
お店を支えてきたのは ホシザキIM‑35L‑1(35kgタイプ)。
20年以上働き続けてきたベテラン製氷機です。
前回はなんとか持ち直したものの、再び「氷ができない」症状が発生。
ここから、修理か?買い替えか? を一緒に考える長い旅が始まりました。
氷ができないのに、機械は元気に動いている
最初に伺った症状を整理すると、こんな状態でした。
- 電源を入れると、コンプレッサーもファンもちゃんと動く
- 透明ホースの中を水が循環しているのも見える
- エラーランプは点灯していない
- なのに、氷が落ちてこない
さらに詳しく聞くと、
- ポンプモーターは触れないほど熱くなっている
- 製氷皿(金属のマス)を触ると、しっかり冷えて霜もついている
つまり「冷え」と「循環」は一見問題なさそう。
それでも氷ができないとなると、製氷サイクルのどこかで“水”が足りなくなっている 可能性が濃くなります。
LINEと写真で一緒にトラブルシュート
まずは、こちらのトラブル解決ページも見てもらいながら、
LINEで一つひとつ状態を確認していきました。
- ポンプは動いているか?
→ 透明ホースの中を水が勢いよく流れているとのこと。 - コンデンサー前面のアルミフィンから風が出ているか?
→ こちらも問題なし。 - 製氷皿(金属のマス)に霜がついているか?
→ ガチガチに冷えている。 - 20〜30分運転 → 電源オフ → 10秒後オンで氷が落ちるか?
→ 落ちてこない。
冷えるし、水も回るのに氷にならない。
となると、「水をためる箱」か「そこにつながるホース」 が怪しい。
そう伝えて、製氷機の内部写真を何枚も送っていただきました。
青い丸が指し示した真犯人:割れたウォーターボックスとホース

写真には、冷却板のすぐ下にある 黄色い箱 が映っていました。
ここが、製氷サイクルの要となる「ウォーターボックス」です。
- 補給された水が一度ここにたまり
- ポンプで汲み上げられ
- 冷却板の表面にシャワーのように吹き上げられる
この繰り返しで、キューブアイスが作られます。
ところが、青い丸をつけてもらった部分をよく見ると…
- 箱の角に くっきりとした亀裂
- 接続ホースも、根元がパックリ割れている
- さらに、その上から黒いテープで補修した形跡
実際に運転してもらうと、
- 運転開始直後:箱には十分な水
- 数分後:箱の水位がどんどん下がる
- 下部トレイにはポタポタと水が落ちている
つまり、
氷を作るべき水が、箱やホースの割れ目から漏れてしまっている 状態でした。
これでは、ポンプが空回りしてしまい、センサーも「水が足りない」と判断してサイクルを止めてしまいます。

応急処置:テープ補修とホース交換にチャレンジ
現場でできることは、できるだけやってもらう。
これが氷の錬金術師のスタンスです。
そこでまずは、
- 亀裂部分を ガムテープでぐるぐる巻き
- 漏れ具合を確認
- どうしてもダメなら、ホースをまるごと新品に交換
という手順をご提案しました。
オーナーさんはすぐにホームセンターで径の合うホースを購入し、
写真を見比べながら、かなり綺麗に付け替えてくださいました。
結果──
水漏れはだいぶ減ったものの、氷はやっぱり安定して作られない。
ここまで来ると、
- ウォーターボックスの見えない部分にもヒビが入っている
- ポンプの回転が不安定になってきている
- 電気系統にも疲れが出始めている
といった「複数の老化」が積み重なっている可能性が高くなります。
銘板を見ると、このIM‑35L‑1は 2002年製。
20年以上、毎日の営業を支えてきたことを考えると、正直よくここまで動いてくれた…という年式です。
修理か?買い替えか?一緒に数字で比較してみる
ここからは、感情だけでなく 数字 も出しながら相談しました。
1. 今のIM‑35L‑1を修理する場合
- 宇都宮 ⇔ 石川の往復送料:約1万円
- 修理+分解清掃・メンテナンス:2〜3万円前後(想定)
- 合計:3〜4万円
メリット:
- 設置寸法は変わらない
- 操作にも慣れている
- 水回りやポンプを新品にすれば、まだ延命はできる
デメリット:
- 本体は20年以上前の個体のまま
- 今回直しても、別の箇所が次々と壊れる不安は消えない
2. 同じIM‑35L‑1の中古に買い替える場合
これは、あえておすすめしませんでした。
- 中古市場に出回るのは、同じくらい古い年式が中心
- 弱点や劣化具合も似ていて、
「壊れるタイミングだけリセットしただけ」 になりがちだからです。
3. 年式の新しい45kgタイプにステップアップする場合
そこでご提案したのが、
フクシマ FIC‑A45KT(45kgタイプ・2013年製)。
- サイズ:約630(W)×450(D)×800(H)
→ 今の設置スペースにピッタリ - 製氷能力:45kgクラスで、今より余裕のある氷量
- 価格:送料込み90,000円
- 保証:到着後1ヶ月
さらに、
- 今のIM‑35L‑1は 下取り20,000円(送料別)
とさせていただいたため、最終的な負担額は
90,000円
− 20,000円(下取り)
+ 5,720円(こちらで立て替える下取り送料)
= 64,280円
となる試算です。
決断:45kgフクシマ機+IM‑35L‑1の下取り2万円
何度もやり取りを重ねた結果、オーナーさんの答えはシンプルでした。
「下取りと45キロタイプ購入でお願いします。」
- お届け日:○月11日(12〜18時の間で時間指定)
- 配送・集荷:アートセッティングデリバリー(旧ヤマト家財便)を利用
- お届け先と、壊れたIM‑35L‑1の引き取り先は同じ店舗
集荷のWeb申し込みが少しややこしいため、入力に必要な情報はこちらからすべてお伝えし、途中で詰まりそうなら代わりに手配する準備も整えました。
まさかの復活…それでもオーナーが選んだのは「約束を守る」こと
集荷と発送の段取りがすべて整ったタイミングで、
オーナーさんからこんなメッセージが届きます。
「今使ってる製氷機、ほっといたら氷が作られて出てきました。」
長年使われた製氷機では、
- ポンプが動いたり止まったり
- センサーが時々ご機嫌を損ねる
といった“気まぐれな復活”が、実際によく起こります。
そこで私は、
「故障品としてメルカリやヤフオクで売ったほうが、
下取りより高く売れるかもしれませんよ」
と、正直にお伝えしました。
ですがオーナーさんは、
「いや、下取りのお話しちゃってるので大丈夫です!」
と、約束を優先してくださいました。
こうしてIM‑35L‑1は予定どおり当店に到着。
フクシマFIC‑A45KTは、宇都宮の新店舗で元気に稼働し始めています。
この事例から分かる「長寿命製氷機との付き合い方」
今回の一連の流れから、同じように悩んでいるオーナーさんにお伝えしたいポイントを3つにまとめます。
1. IM‑35L‑1で氷ができない時は「水の道」を最優先でチェック
- 水を溜める黄色い箱(ウォーターボックス)
- そこにつながるホース
- テープで補修された跡
このあたりに 亀裂やにじみ がないか、まず疑ってみてください。
冷えとポンプに問題がなくても、ここで水が逃げていれば氷はできません。
2. 20年選手は「修理で延命」か「年式アップで安心」かを数字で見る
- 年式:2002年
- 使用環境:毎日フル稼働
- ここ1〜2年でトラブルが増えている
こうした条件が揃うときは、3〜4万円かけて修理するか、6〜7万円で新しい年式に乗り換えるか を、落ち着いて比べてみる価値があります。
3. 壊れかけの製氷機にも「下取り2万円」の価値がある
今回のIM‑35L‑1も、そのまま捨てれば費用がかかる“産廃”でしたが、部品取りや再生品のベースとして 2万円の下取り価値 がつきました。
「処分費を払ってゼロにする」のか、「最後のひと稼ぎとして現金化する」のかで、キャッシュフローは大きく変わります。
まとめ:迷ったら、第三者の目線を挟んでみてください
- 20年選手のIM‑35L‑1が氷を作らなくなった
- 写真とLINEだけで、水漏れ・ホース割れ・ポンプの状態を一緒に確認
- 修理か、同型中古か、45kgタイプかを数字で比較
- 最終的に FIC‑A45KTへの入れ替え+IM‑35L‑1の下取り2万円 という選択に
製氷機のトラブルは、「修理・買い替え・撤去・設置」が一度に押し寄せてきて、オーナー一人では判断が難しいテーマです。
氷の錬金術師では、
- まず現場でできるチェックを全部お伝えし
- 修理のほうが得な時は、ちゃんとそれをお伝えし
- それでも入れ替えるとなったら、下取りと配送まで丸ごとサポート
というスタンスでお手伝いしています。
もし今、あなたの製氷機が
「なんとなく不安定」
「修理代と買い替え、どっちがマシか分からない」
そんな状態なら、まずはスマホで数枚写真を撮って、LINEで送ってみてください。
今回のオーナーさんのように、今の一台と、これから10年付き合える一台 のバランスを、一緒に考えていきましょう。
